情報開示の未来を切り拓く「プレインジャパニーズ」
私は約30年にわたり証券代行事業に従事し、数多くの発行体企業の皆様とともに、株主総会や株式実務の現場を歩んできました。1931年の創立以来、90年以上の歴史を紡いできた東京株式懇話会は、常に時代の変化に応じ、実務の調査研究や情報交換の場を提供し続けています。
近年、コーポレートガバナンスやSR(シェアホルダー・リレーションズ)への関心が高まる中で、日本企業の開示姿勢は着実に改善し、提供される情報量も増加しました。しかし、その一方で「情報が増えすぎて、必要なデータが見つけにくい」「招集通知が読みにくい」という投資家の切実な声も届いています。
例えば、ページ数を抑えるために行間を詰めた過密なレイアウトや、法律用語が並ぶ複雑な報酬議案などは、投資家にとって大きな負担となっています。日本語の表現が曖昧なために、投資家がわざわざ英文開示を確認しに行くという現状は、私たちが真摯に向き合うべき課題です。
今、求められているのは、単なる情報の羅列ではなく、国際標準にもなりつつある「見つけやすさ」と「わかりやすさ」を追求した情報開示です。私たちは2025年に向けた提案書において、プレインランゲージの活用を提唱しました。
今後は、長年親しまれてきた「株懇モデル(実務モデル)」自体をプレインジャパニーズで再構築するなど、発行体の皆様がより取り組みやすい環境を整えていく必要があります。
具体的な成功事例を共有し、対話の質を高めることで、企業と投資家のより良い関係性を築いていく。それが、これからの株式実務が目指すべき姿だと確信しています。
