プレインランゲージとはabout plain Language
プレインランゲージは、情報の受け手が必要な情報を容易に見つけ、理解し、使用できることを実現します。
プレインランゲージは情報発信に効果的なツールであり、プレインランゲージを使用することで、情報の受け手と発信する組織の時間とコストを削減するという効果的な結果をもたらすことを多くの研究機関が発表しています。
情報の受け手はプレインランゲージを好むため、組織とステークホルダーとの信頼を築くためにも重要なツールです。
さらに翻訳をする場合においても、プレインランゲージの文書の方が効率的に翻訳することができます。
プレインランゲージが役立つ理由
執筆:Plain Language Action and Information Network (PLAIN)
かつて、プレインランゲージに対する反対意見は複数存在していました。代表的なものが、読者を見下している、テクニカルなトピックには使えない、過剰に単純化している、正確性に欠ける、などです。しかし、今ではこのような意見は誤解であることが証明され、プレインランゲージへの反論はほとんど聞かれなくなりました。
ここでは、プレインランゲージを活用するメリットについて説明している記事を紹介します。
- 米国市民は、政府からの情報をプレインランゲージで受け取る権利があります。これは法律で定められています。
- ジョー キンブル教授は著書『Writing for Dollars, Writing to Please(お金と満足を得る書き方)』において、プレインイングリッシュを使って予算と時間を削減する方法を実例と共に紹介しています。上司にプレインランゲージの重要性を説明する際に最適な本です。参考文献一覧も含まれています。
また、同教授は2000年に発表した記事『The Great Myth That Plain Language is Not Precise(プレインランゲージを使うと正確性は犠牲になるのか?)』で、プレインランゲージでは正確な情報が伝えられないという批判に対して反論しています。
- リリー ホワイトマン氏は2000年に発表した『 Signs of Intelligible Life(知的な生き方の兆し)』の中で、米国の主要機関の多くがプレインランゲージを好んでいることを示しました。
同氏はまた『Wanted: Articulate Scientists(科学者のコミュニケーション方法)』において、多くの科学者がより多くの読者を増やすことを目指し、そのための方法を学んでいるとしています。この記事では、プレインなスタイルを使うメリットの概要が書かれています。
- ローズ グロツキー氏は、2004年にプレインランゲージのメリットを調査した研究について報告しています。また、金融機関においてプレインランゲージがどのようにパフォーマンスに影響を与えるかについても報告しています。この記事はプレインリーガル・ランゲージを専門とする定期刊行誌『Clarity』に掲載されました。
- ブッシュ政権時のIRS政治任用官であったジョン クロッチェ氏は、プレインランゲージを税務関係の文書に使用することを強く支持しています。 ブログ『Plain Tax Talk(プレインな税金)』を読んでみてください。
- 連邦職員でもありブロガーでもあるグウィン コスティン氏は、透明性を高めるためにはプレインランゲージが必要であると主張しています。
- シェリル ステファンズ氏は、カナダでプレインランゲージを推進する代表的な人物です。プレインイングリッシュによるビジネス上のメリットについてエッセイを発表しています。
- ボブ ブレーウィン氏は、政府の高官に向けた投稿をしています。国防総省においてプレインランゲージが使用されていないことを問題視しています。
出典:https://www.plainlanguage.gov/resources/articles/arguments-in-favor-of-plain-language/
シンプルな単語で伝える
執筆:Bill Lampton(ビル ランプトン)さま
(コミュニケーション・コンサルタント、スピーチ・コーチ)
数日前、オフィスビルの近くの芝生に立っている下記の看板に目が留まりました。
Experimental Turf Area
Please Avoid Pedestrian Traffic on Turf
(訳注:実験的芝地エリア 芝地の歩行者通行は避けてください)
ぱっと見た時に、意味が分かりづらいと感じませんか?「KEEP OFF THE GRASS(訳注:芝生に入らないでください)」の方が分かりやすいし、一般的な表現です。必要以上にメッセージを複雑にする必要はありません。
ベストセラー作家ジェームス・ミッチェナーは、小説を書く際にとても基本的な言葉を使います。自身の半生と作家としてのキャリアについて書いた名著『The World Is My Home』の中で、ライティングの秘訣を「write simply (シンプルに書くこと)」と2ワードで説明しています。また、「身近な短い単語を使って素晴らしいスタイルを築き上げたアーネスト・ヘミングウェーを尊敬しています」とも書いています。
ミッチェナーは優れた学者でもあったため、莫大な量の単語を知っていました。しかし、そのボキャブラリーを見せつけたいという欲望はなく、「優れたライティングは、あたりまえの単語を使って圧倒的な結果を生みだすこと」であると言います。
サマセット・モームの話も例に挙げて説明しています。サマセット・モームは、ミッチェナーのキャリアが始まるのと同時期にキャリアを終えた著名な小説家です。モームは作家になると決めると、新しいノートを買い、難しくて尊敬を集めるように感じる単語を書き出しました。長年たってから、このリストを見直してみると、リストに書き出した単語はひとつも使っていませんでした。
ミッチェナーは、知っている単語をすべて使う必要はないと強調しています。
人気コラムニストであり著名なライティング講師であるジェームズ・J・キルパトリックも同氏の考え方に賛同します。ライティングの一番の基本は、メッセージを伝えることにあり、適切な単語を美しくつなげることがライターに必要な技術であるといいます。単語を美しくつなげることは、知っている単語を見せつけることとは違うのです。
シンプルに書くためには、まずドラフトから
次のような文書を作成する際には、まずドラフトを書きます。
- 覚書
- 手紙
- 記事
- メール
- プレスリリース
- ウェブサイト
- 職務記述書
- パフォーマンス評価
- 指示書
- コンサルタント提案書
- 販売契約
- アニュアルレポート等
ドラフトを書いた後、レビューと編集を行います。その際、ドラフトを書くのと同じ時間をかけます。仰々しい単語やフレーズに印を付け、広く使われる一般的な単語に置き換えます。ほとんどの場合、より分かりやすい単語に置き換えることが可能です。
例
難しい単語 | シンプルで 分かりやすい単語 |
意味 |
Fortuitous | Lucky | 幸運な |
Prevarication | Lie | 言い逃れる、嘘をつく |
Optimal | Ideal | 最適な、理想的な |
Feasible | Possible | 実現可能 |
Peruse | Read | 読む |
Interrogate | Question | 問いただす |
Altercation | Argument | 口論 |
Surrogate | Substitute | 代用物 |
いずれも「シンプルで分かりやすい単語」のほうが一般的に広く使われます。
次のステップ
他の人があなたを混乱させたり苛立たせたりする単語を使うことがあったら、その単語をメモしておきましょう。そして、自分が話したり書いたりする際には、その単語を使わないようにします。いつも使っている専門用語やフレーズを使う必要がある場合は、その単語の簡単な定義を加えます。
覚えていてください、「一番伝わるのはシンプルな単語」であることを。
出典:https://www.plainlanguage.gov/resources/articles/simple-words-work-best/