プレインランゲージによる具体的な成果
プレインランゲージを使うことで、時間と経費を削減することができます。これは情報の受け手にとっても同様です。政府が民間に情報を開示する際にプレインランゲージを使うと、規制に対する順守率も高まります。
『Writing for Dollars, Writing to Please』に掲載されている実例から具体的な成果を見ていきましょう。
プレインランゲージを使うと問い合わせ電話の件数が減少
電話の件数 | 従来の案内 | プレインランゲージでの案内 |
担当者1人が対応する月間電話数 | 94 | 16 |
年間の合計 | 1,128 | 192 |
出典:米国ジャクソンMS事務所、退役軍人給付金様式
プレインランゲージで問題解決までの時間を短縮
米国連邦通信委員会(FCC)がプレジャーボート用無線について定める要件について、ユーザーに数点の質問をしました。質問の答えは、規制に記載されており、そこから回答を探してもらいます。回答までにかかった時間の平均を比較しています。
ユーザーの種類 | 従来の規制 | プレインランゲージで書かれた規制 |
プレジャーボート無線経験者 | 2.43 | 1.50 |
プレジャーボート無線未経験者 | 3.51 | 1.73 |
プレインランゲージでミスが減少
・従来の様式:40%
・プレインランゲージを使った様式:20%
出典:カナダ政府、木の無料配布申請様式
プレインランゲージで順守率が向上
・従来の様式:40%
・プレインランゲージを使った様式:95%
出典:カナダ政府、家畜登録をするために必要な政府証明書
もっとも注目すべき効果は政府の経費削減
ここまで、政府の経費削減につながった例の一部を紹介してきました。ここではさらに具体的な数値で経費削減の例を紹介します。
- プレインランゲージを使って作成された最初の規制は、米国連邦通信委員会(FCC)による無線ラジオ規制でした。規制をプレインランゲージに変更した数か月後から、FCCに寄せられる電話や手紙の数が激減しました。従来は質問の電話や手紙に5人で対応していましたが、問い合わせ数が減ったため5人は別部門に異動となりました。
- 米国退役軍人給付管理局(VBA)では数年に一度、すべての退役軍人に案内を送付します。案内の目的は、登録している受益者を更新してもらうことにあります。登録が有効でいないと、退役軍人が死亡した際にVBAのスタッフが受益者を探し、確認する必要があります。当初、この案内に対する返信率は43%でした。しかし、案内をプレインランゲージで書き直したところ、返信率が65%まで向上しました。結果、VBAは440万ドル相当の労働時間を削減することができました。
プレインランゲージを使って政府と市民の関係を改善することができます。アリゾナ州税務署のプロジェクトでの成功例を紹介します。
2006年、アリゾナ州税務局では、約400種類の様式をプレインランゲージを使った形式に改訂しました。シンプルで、整理された、端的な表現を使用し、税理士のサポートがなくても、内容が伝わる様式を目指しました。
2008年の前半の時点での成果:
2007年には、プレインイングリッシュに書き直す前である前年に比べ、電話での問い合わせ数が18,000件減少しています。これによりスタッフは別の仕事に時間を使えるようになり、申請処理数が30,000件アップしました。
同じ質問に繰り返し答える必要がなくなり、スタッフの仕事に対する満足度も上がりました。
アンケートによると、市民の満足度も上がりました。税務局の代表は次のように述べています。「市民は『自分が何をする必要があるか』がわかり、満足度の向上につながっています。プレインランゲージはスタッフと市民に良い影響を与えました」