2025年11月5日から7日にブリュッセルで開催された国際会議「Brussels Plain Language Experience 2025」に浅井、寺井とともに参加しました。この会議はPlain Language Association International(PLAIN)とClarity International、そして欧州議会、欧州委員会、ベルギー政府、司法研修所が共催し、「Uniting for a brighter future: A new era for plain languageより明るい未来のために団結を:プレインランゲージの新時代」をテーマに、各国のプレインランゲージの専門家や実務者が数百名集まりました。
ISO、法務、AI、デザインなど多岐にわたるセッションやパネルディスカッションが毎日行われました。特に印象に残ったセッションはLorenzo Carpanè氏による「神経科学とプレインランゲージ」、Karel van der Waarde氏による「ISO規格が患者の権利と医療結果をどう改善するか」、欧州議会の翻訳チームによる「多言語対応サービスのアクセシビリティ」、Neil James博士による「ツールを活用した倫理的説得」などでした。いずれもプレインランゲージやISO 24495に基づくコミュニケーション方法が有効であることが紹介されました。
パネリストは上の図に示す各分野での国際標準化の動向について説明した。健康・安全とウェルビーイングに関わる標準化のきっかけは職場での健康安全(Occupational health and safety management)である。メンタルヘルスに関わる標準も含め今では世界各国で利用されている。
しかし、職場に所属しない人々も大勢いる。子供たち、商店主、農業従事者や高齢者など。それらの人々も含め、地域と組織でのウェルビーイングマネジメントの共通原理を示す国際標準(Wellbeing management in organizations and communities)が誕生した。また、急速に発展しているデジタル(Digital Technologies)は、スマートウォッチでの心拍数測定のように、ウェルビーイングを高めるのに利用できる。
忘れてならないのは、ウェルビーイングを高めるサービスや製品が対象者に使いやすいこと。障害を持つ人々などが排除されないこと(Usability and accessibility)。一方で、よく理解できないままに高額のサービスや製品を購入してしまう消費者もいる。サービス提供者に消費者の脆弱性に対応するように求める国際標準(Vulnerable Consumers)も誕生している。
これらの国際標準が実際にどのように利用されているか、モデレータとして質問した。五人のパネリストは実例を紹介したが、普及への努力がもっと必要なことも明らかになった。フォーラムに参加していたISO会長、IEC会長にも意見を求めたが、関連組織(政府や企業、NPOなど)を巻き込んだワークショップを開催するなど、一層の普及努力が必要という意見だった。そこで下の図を示して、パネルの結論「Let ISO and IEC facilitate promotion activities(ISOとIECによる普及活動をもっと活発にしよう)」とした。
24495-4にはRequirements for implementing plain language principlesという副題がついている。プレインランゲージの重要性を理解した政府や企業が、「我々はプレインランゲージ原則に基づいて情報を発信する」と宣言する。どんな体制を作ればこの宣言が守られていくだろうか。この国際標準は、プレイランゲージを宣言する組織が守るべき原則や体制を提示する。まだ登山道の入り口で、これから開発が進む段階にある。
そうは言っても、自分の言葉遣いを客観視する機会はなかなかありません。そこで、英語の短縮語を使って、所属先の48名の日本人学生を対象に英文の翻訳をしてもらいました。「Gimme a cup of water.」のように提示した文を日本語に訳してもらい、その後で元の形になっている文を見せて訳してもらいました。その正答率をまとめたのが下の表です。