難しい専門用語を捨てる勇気。いざという時に「迷わせない」プレインランゲージの力

誰にとってもわかりやすい「プレインランゲージ」は、日常の安心を支える大切な要素でもあります。

JA共済アプリのリニューアルでは、専門用語を徹底的に取り除き、誰もが直感的にわかる言葉遣いへと刷新されました。

その結果、若者から高齢層まで「使いやすい」という声が広がり、登録者数は130万人を突破しています。

プレインランゲージを軸にしたデザインは、国内外のデザイン賞を受賞するなど、世界的に高く評価されています。

ご参考:防災も手続きも、スマホで完結。世界が認めた「JA共済アプリ」が届ける”日常の安心

橘川 真澄
(JAPL理事)

AIも人も「一読」で理解できる文書へ。トヨタに学ぶプレインランゲージの重要性

サステナブル・ラボ株式会社が発表した「AIフレンドリー統合報告書ランキング」は、人だけでなくAIも読者になる時代の到来を示しています。

統合報告書の「AI可読性」は、投資家やステークホルダーの目線だけでなく、情報の構造や明確さ、つまりプレインランゲージの本質に深く関わります。

見出し階層を整理する、論理的に構成する――これらは「読みやすさ」を高めるだけでなく、AIにも理解しやすい文書をつくる第一歩です。

AI可読性ランキングで首位となったトヨタ自動車は、まさにこの点で高い評価を受けました。

ご参考:『AIフレンドリー統合報告書ランキング TOP50(2025年版)』、首位はトヨタ自動車 サステナブル・ラボ調べ

橘川 真澄
(JAPL理事)

英文開示の実務担当者が押さえるべき3つのポイントとは?

英文同時開示の義務化対応を「単なる事務負担」と捉えず、企業価値向上のチャンスにするためには、以下の3つの視点が重要です。

① プレインランゲージ(平易な英語)

② コストではなく「投資」

③ 完璧主義を捨てる

上記は赤坂国際法律会計事務所のブログからの抜粋です。

ブログでは、英語ネイティブがストレスなく読める「平易・簡潔・明解」な英語(プレインイングリッシュ)を推奨しています。また、英文開示が必須とされる理由や、限られたリソースで効率的に英文開示を進めるための具体的な手法などを紹介しています。

詳細は「英文開示の実務対応 第 80 回全株懇定時会員総会審議事項の紹介」をご覧ください。

橘川 真澄
(JAPL理事)

「投資の神様」に学ぶ、心をつかむ伝え方の極意

「投資の神様」といわれるウォーレン・バフェット氏は、複雑な経済の仕組みを、日常の言葉でさらりと解き明かす名手です。

彼は難しい用語を避け、誰もが納得できる「日常の言葉」で経営の本質を語り続けてきました。

中でも「雨を予測するより、傘を準備することが大事だ」という教えは、彼の哲学を象徴しています。 これは、未来の不安をただ予想するのではなく、何が起きても動じない「備え」を整えよという知恵です。

私たちも、相手の心にスッと届く、シンプルな表現を大切にしたいものです。

ご参考:
バークシャー・ハサウェイの年次報告書(2024年)

ウォーレン・バフェット氏が60年ぶりにバークシャー・ハサウェイのCEOを退任し、指揮権をグレッグ・エイベル氏に譲る

橘川 真澄
(JAPL理事)

世界で広がる「プレインランゲージ」とは? サステナビリティ情報発信に重要な理由

企業によるサステナビリティの情報発信は、読者に十分伝わっていないことも多い。

一般的にあまり知られていない専門用語やカタカナ語が使われているためだ。

幅広い人に共感してもらうためには、プレインランゲージの考え方を取り入れることが有効だ。

上記は、サステナブルブランドのニュースからの抜粋です。

サステナビリティの情報発信で活用すべきプレインランゲージの重要性や、JAPLについても言及されています。

詳細は「世界で広がる「プレインランゲージ」とは? サステナビリティ情報発信に重要な理由」をご覧ください。

橘川 真澄
(JAPL理事)

英文開示はプレインランゲージで:提案書「英文開示の実務対応」(全国株懇連合会)

株式市場に向けた情報開示は、文学作品のように格調の高い文体で書く必要もないし、難解な語彙で飾り立てる必要もない。(中略)受験英語で学んだ難しい知識は一旦忘れて、むしろ平易・簡潔・明解な英語で書くことが望ましい。

上記は、全国株懇連合会(注)が2025年11月に公表した提案書「英文開示の実務対応」からの抜粋です。

東京証券取引所は同年4月から、プライム市場上場企業に対して決算情報を含む主要な投資家向け情報について、英文同時開示を義務づけました。

日本株の売買シェアの60%以上を海外投資家が占めるなか、いかに読みやすく、迅速に英文で開示をするか、本書では、そのための手段としてプレインイングリッシュの利用を推奨しています。

プレインイングリッシュの具体的な説明、またプレインイングリッシュの普及によって、どのように米国上場企業の招集通知は変わったのか、実際の例を比較した詳細な分析は、株式の実務担当者でなくとも、英語をビジネスで使っている方には学びの多い内容です。

日本企業の英文開示の進化に注目が集まっています。

注:上場企業等の株式実務担当者による任意団体で、法務省、証券取引所等との交流、実務・書式の提言等を通じて、株式実務の円滑化を図ることを目的としています。

ご参考:英文開示の実務対応 第80 回全株懇定時会員総会審議事項の紹介(赤坂国際法律事務所)

橘川 真澄
(JAPL理事 )

国際会議「Brussels Plain Language Experience 2025」への参加

2025年11月5日から7日にブリュッセルで開催された国際会議「Brussels Plain Language Experience 2025」に浅井、寺井とともに参加しました。この会議はPlain Language Association International(PLAIN)とClarity International、そして欧州議会、欧州委員会、ベルギー政府、司法研修所が共催し、「Uniting for a brighter future: A new era for plain languageより明るい未来のために団結を:プレインランゲージの新時代」をテーマに、各国のプレインランゲージの専門家や実務者が数百名集まりました。

ISO、法務、AI、デザインなど多岐にわたるセッションやパネルディスカッションが毎日行われました。特に印象に残ったセッションはLorenzo Carpanè氏による「神経科学とプレインランゲージ」、Karel van der Waarde氏による「ISO規格が患者の権利と医療結果をどう改善するか」、欧州議会の翻訳チームによる「多言語対応サービスのアクセシビリティ」、Neil James博士による「ツールを活用した倫理的説得」などでした。いずれもプレインランゲージやISO 24495に基づくコミュニケーション方法が有効であることが紹介されました。

JAPLでは、浅井が日本におけるプレインランゲージについて、寺井は日本における社会保障制度情報のアクセス性とプレインジャパニーズの有効性についてポスター発表を行いました。

プレインランゲージに関するアジアからの情報が少ないこともあり、各ポスターには常に訪問者が訪れ、さまざまな質問をいただき、盛況のうちに終えることができました。

こうした国際会議に参加したのは初めてですが、普段はZoom上でしか会うことのできなかった世界のプレインランゲージのエキスパートとネットワークを築けたことは大変貴重な経験でした。この縁を大事に、世界のプレインランゲージの動向をはじめ、皆様にさまざまな情報をお届けしていきたいと思います。

橘川 真澄
(JAPL理事)

国際標準化ワークショップで感じたプレインランゲージの必要性

万博会場で実施された国際標準化フォーラムで、パネル2「ウェルビーイングと標準化」のモデレータを務めた。

パネリストは上の図に示す各分野での国際標準化の動向について説明した。健康・安全とウェルビーイングに関わる標準化のきっかけは職場での健康安全(Occupational health and safety management)である。メンタルヘルスに関わる標準も含め今では世界各国で利用されている。

しかし、職場に所属しない人々も大勢いる。子供たち、商店主、農業従事者や高齢者など。それらの人々も含め、地域と組織でのウェルビーイングマネジメントの共通原理を示す国際標準(Wellbeing management in organizations and communities)が誕生した。また、急速に発展しているデジタル(Digital Technologies)は、スマートウォッチでの心拍数測定のように、ウェルビーイングを高めるのに利用できる。

忘れてならないのは、ウェルビーイングを高めるサービスや製品が対象者に使いやすいこと。障害を持つ人々などが排除されないこと(Usability and accessibility)。一方で、よく理解できないままに高額のサービスや製品を購入してしまう消費者もいる。サービス提供者に消費者の脆弱性に対応するように求める国際標準(Vulnerable Consumers)も誕生している。

これらの国際標準が実際にどのように利用されているか、モデレータとして質問した。五人のパネリストは実例を紹介したが、普及への努力がもっと必要なことも明らかになった。フォーラムに参加していたISO会長、IEC会長にも意見を求めたが、関連組織(政府や企業、NPOなど)を巻き込んだワークショップを開催するなど、一層の普及努力が必要という意見だった。そこで下の図を示して、パネルの結論「Let ISO and IEC facilitate promotion activities(ISOとIECによる普及活動をもっと活発にしよう)」とした。

パネルを通じて、プレインランゲージの必要性に気づかされた。「TC 12のSC 3で開発されたIS 45678」というようにむやみに番号を話すパネリストもいた。12番目の技術委員会(TC)の3番目の下部組織(分科委員会、SC)で開発された45678という番号が振られた国際標準(IS)という意味だが、番号だけでは聴衆には理解できない。

聴衆が標準化関係者に限られる内部調整の会議であればよいのだが、このフォーラムは広く一般の方々に国際標準化の動向と価値を訴えるものであった。だからこそ、聴衆に理解できるように話をする必要があった。番号だらけのパネリストをどう補ったらよいか。これを考えながらモデレータの役割を果たさなければならなかった。

プレインランゲージについても普及活動が求められると痛感した。

山田 肇
(特定非営利活動法人情報通信政策フォーラム理事長/工学博士/東洋大学名誉教授 /JAPL理事)

知的財産部の方々とプレインランゲージについて話をしました

軽電子機器協議会にお招きいただき、各社の知的財産部の方々とプレインランゲージについて話した。

学校教育で「特許は独占権」と教えられているが、知的財産部の方々が気づいている通り、特許は知的財産権に関わる交渉を有利に導く道具に過ぎない。独占権という誤解を突いて新規株式上場(IPO)の際に「強力な自社特許」をうたうベンチャー企業があるが、これは投資家に過剰な期待を抱かせる恐れがある。

そんな話をしたうえで、僕はプレインランゲージ国際標準を紹介した。投資家を含め一般読者に対するコミュニケーションは「読者は必要な情報を入手できる」「読者は必要な情報を簡単に見つけられる」「読者は見つけた情報を簡単に理解できる」「読者はその情報を使いやすい」という四原則に沿う必要がある。プレインランゲージ国際標準はこれら四原則の詳細を提示する。

これに対して、「一般読者どころではなく、社内の研究者とコミュニケーションをとる際にも、プレインランゲージが必要だ」という反応が知的財産部の方々から返ってきた。確かにそうだ。「クレーム」は「苦情」ではなく「特許請求の範囲」の意味である。突然、「クレームを見直してほしい」と言ったら、研究者は戸惑うだろう。

科学技術に関する情報を広く国民に向けて提供する科学コミュニケーションでは、情報は倫理的に提示しなければならない。一方的な立場や解釈を立つことなく、データはフェアに、バイアスなく提示する必要がある。例えば、ワクチンについて話すなら、効果と共に副作用についても公正に伝えるのがよい。

主要国首脳会議(G7)科学技術担当大臣会合(仙台、2023年)で、科学コミュニケーションについてワーキンググループ(WG)を設置することになった。ワクチンやAIについて正確な情報が国民に伝わらないという課題にG7各国が懸念し、WGが設置されたのだ。どのようなテーマをどのように伝えるかを検討するのがWGであって、一方、情報提供の手法はISOのプレインランゲージ標準化グループで国際標準化が進んでいる。両者が連動することで、科学コミュニケーションは改善されていく。先に触れた「情報は倫理的に提示する」は現在検討中の国際標準案にある一文である。

広く国民に向けた科学コミュニケーションについても、知的財産部の方々に理解していただいた有意義な会合となった。

山田 肇
(特定非営利活動法人情報通信政策フォーラム理事長/工学博士/東洋大学名誉教授 /JAPL理事)

学び多き山田名誉教授の講義

山田肇JAPL理事が名誉教授を務める東洋大学大学院の授業を見学、聴講させていただきました。公民連携専攻の学生たちは、山田理事による公共機関から市民への情報発信のあり方についての講義、特に海外動向を含めてのプレインランゲージの講義に熱心に耳を傾けていました。

印象的だったのは、講義の最後の質疑応答で、ある学生が「日本でも公共政策や公共事業についての説明にプレインランゲージは有益であり、その法律が必要ではないか。日本の現状はどうか」と質問したことです。まさにその通りで、公共機関の事業は私たちの税金によって成り立っており、納税者への説明責任があります。さらに、代議士は有権者の代表である以上、わかりやすく簡潔に説明する義務があります。曖昧で煙に巻くような答弁は許されませんが、長年の慣習でそれも自嘲に変えてしまう自分がおり、彼の率直な問いに清々しさを覚えました。

山田理事は、「私たちの努力不足もあり、現時点ではプレインランゲージはJIS規格されていません。その利用も日本で義務化されていません。それを推進していくのが私たち(JAPL)の役目です」と締めくくられました。

浅井 満知子
(JAPL代表理事)