投資家の心をつかむ「伝わる言葉」:信頼を築く情報開示の秘訣

多くの企業が開示する報告書は、専門用語や複雑な表現のために、読み手にとって高いハードルになりがちです。しかし、情報を明瞭な言葉(プレインランゲージ)で伝えるだけで、読者の理解スピードや記憶への定着率は大きく向上します。

「わかりやすさ」がもたらす価値

研究データによれば、プレインランゲージで書かれた文章は、読み手に負担をかける硬い表現を用いたものに比べ、読者の理解スピードを劇的に高めることが示されています。また、文章が明快であるほど、その企業は「誠実で信頼できる」とポジティブに評価される傾向にあります。たとえネガティブな情報を共有する場合でも、透明性の高い伝え方は、読者の信頼や確信を得るための大きな助けとなります。

3つの改善策

「最初のページ」を戦略的に使う: ほとんどの読者が目を通す冒頭部分に、最も重要なメッセージを配置します。

視覚的な工夫を取り入れる: 図解、チャート、適切な色使いなどを活用し、直感的に内容が掴めるようにします。

論理的で簡潔な構成: 文章を区切り、拾い読み(スキャン)しやすい構造を意識します。

情報をわかりやすく整えることは、単なる編集作業ではなく、投資家との良好な関係を築き、持続的な支持を得るための「戦略的な投資」といえます。

ご参考:Why And How To Use Plain Language In Your Corporate Disclosure(Forbes誌)

橘川 真澄
(JAPL理事)

「わかりやすさ」が評価の基準に。GLM社に見るプレインイングリッシュの活用事例

情報開示において「読み手にいかに伝えるか」という視点がますます重要視されています。今回は、プレインイングリッシュを戦略的に取り入れ、外部評価へと繋げた最新の事例をご紹介します。

「わかりやすさ」が評価の基準に。GLM社に見るプレインイングリッシュの活用事例

日興アイ・アール株式会社が発表した「2025年度全上場企業ホームページ充実度ランキング」において、株式会社グローバル・リンク・マネジメント(以下、GLM社)が「総合部門 優秀サイト」に初めて選出されました。

この調査は全上場企業3,937社を対象に、「わかりやすさ」「使いやすさ」「情報の多さ」という3つの視点から、客観的な評価項目に基づいて行われるものです。

情報開示の質を高める具体的な取り組み

GLM社は2024年末から2025年にかけて、重要な情報開示ツールであるコーポレートサイトの構成を大幅に見直し、全体的な強化を進めてきました。

プレインイングリッシュの導入: IRやサステナビリティ関連のコンテンツにおいて、平易かつ明瞭な英語(プレインイングリッシュ)を用いた英文ページの拡充を行っています。

サイトの利便性向上: 14ページを新規追加し、既存の22ページを刷新しました。具体的には、IRの「業績ハイライト」ページにチャートを加工できるジェネレータ機能を追加したほか、ESG関連データの対照表を新設するなど、情報のアクセシビリティを高めています。

「伝わる言葉」への継続的な関心

同社は、2024年にJAPLのプレインランゲージセミナー(主催:(社)サステナブルコミュニティ)に参加されるなど、以前よりこの手法に注目されていたようです。こうした「言葉の質」を大切にする視点が、実際のサイト改善における「読み手にとってのわかりやすさ」として反映されています。

今後の展望:対話を支える情報発信

今回の事例のように、プレインランゲージの手法を導入したことを自社の姿勢として明確に打ち出し、それが外部アワードでの評価に繋がるケースは非常に画期的です。

「情報の質」を追求し、ステークホルダーとの円滑なコミュニケーションを推進するこうした動きは、今後、他の上場企業においても、情報開示の新たなスタンダードとして広がっていくことが期待されます。

ご参考:【GLM】日興アイ・アール「2025年度全上場企業ホームページ充実度ランキング」にて「総合部門 優秀サイト」に初選出

橘川 真澄
(JAPL理事)

AIも人も「一読」で理解できる文書へ。トヨタに学ぶプレインランゲージの重要性

サステナブル・ラボ株式会社が発表した「AIフレンドリー統合報告書ランキング」は、人だけでなくAIも読者になる時代の到来を示しています。

統合報告書の「AI可読性」は、投資家やステークホルダーの目線だけでなく、情報の構造や明確さ、つまりプレインランゲージの本質に深く関わります。

見出し階層を整理する、論理的に構成する――これらは「読みやすさ」を高めるだけでなく、AIにも理解しやすい文書をつくる第一歩です。

AI可読性ランキングで首位となったトヨタ自動車は、まさにこの点で高い評価を受けました。

ご参考:『AIフレンドリー統合報告書ランキング TOP50(2025年版)』、首位はトヨタ自動車 サステナブル・ラボ調べ

橘川 真澄
(JAPL理事)

英文開示の実務担当者が押さえるべき3つのポイントとは?

英文同時開示の義務化対応を「単なる事務負担」と捉えず、企業価値向上のチャンスにするためには、以下の3つの視点が重要です。

① プレインランゲージ(平易な英語)

② コストではなく「投資」

③ 完璧主義を捨てる

上記は赤坂国際法律会計事務所のブログからの抜粋です。

ブログでは、英語ネイティブがストレスなく読める「平易・簡潔・明解」な英語(プレインイングリッシュ)を推奨しています。また、英文開示が必須とされる理由や、限られたリソースで効率的に英文開示を進めるための具体的な手法などを紹介しています。

詳細は「英文開示の実務対応 第 80 回全株懇定時会員総会審議事項の紹介」をご覧ください。

橘川 真澄
(JAPL理事)

「投資の神様」に学ぶ、心をつかむ伝え方の極意

「投資の神様」といわれるウォーレン・バフェット氏は、複雑な経済の仕組みを、日常の言葉でさらりと解き明かす名手です。

彼は難しい用語を避け、誰もが納得できる「日常の言葉」で経営の本質を語り続けてきました。

中でも「雨を予測するより、傘を準備することが大事だ」という教えは、彼の哲学を象徴しています。 これは、未来の不安をただ予想するのではなく、何が起きても動じない「備え」を整えよという知恵です。

私たちも、相手の心にスッと届く、シンプルな表現を大切にしたいものです。

ご参考:
バークシャー・ハサウェイの年次報告書(2024年)

ウォーレン・バフェット氏が60年ぶりにバークシャー・ハサウェイのCEOを退任し、指揮権をグレッグ・エイベル氏に譲る

橘川 真澄
(JAPL理事)

世界で広がる「プレインランゲージ」とは? サステナビリティ情報発信に重要な理由

企業によるサステナビリティの情報発信は、読者に十分伝わっていないことも多い。

一般的にあまり知られていない専門用語やカタカナ語が使われているためだ。

幅広い人に共感してもらうためには、プレインランゲージの考え方を取り入れることが有効だ。

上記は、サステナブルブランドのニュースからの抜粋です。

サステナビリティの情報発信で活用すべきプレインランゲージの重要性や、JAPLについても言及されています。

詳細は「世界で広がる「プレインランゲージ」とは? サステナビリティ情報発信に重要な理由」をご覧ください。

橘川 真澄
(JAPL理事)