AIは「空気」を読める?!

OpenAIは2026年1月15日に「ChatGPT Translate」を公開しました。

プレインジャパニーズのガイドラインの一つに「対象読者を明確にする」というものがあります。

同社の説明によると、最大の特徴は4種類のトーン調整で「ビジネスから子ども向けまで、対象読者に合わせて、文章の雰囲気を変えられる」とのことです。

AIがどこまで「空気」を読んだ自然な訳文を届けてくれるのか、試してみたいと思います。

ご参考:ChatGPT Translate

橘川 真澄
(JAPL理事)

AIに「賢い仕事」をしてもらう秘訣

プレインランゲージは、読み手が一度で内容を理解し行動できるように工夫された言葉ですが、現代では生成AIの精度を最大化する鍵として注目されています。

曖昧さを排除したシンプルな構造は、AIによる文脈解析のミスを減らし、要約や翻訳などの出力を劇的に向上させます。

また、AIの国際規格(ISO 42001)では、AIがなぜその結果を出したのか、その理由を誰もが理解できる言葉で示すことが重視されています。

AIに質の高い学習をさせ、意図通りに動かすためには、人間だけでなくAIにとっても「わかりやすい言葉」で情報を整えることが不可欠です。

これからの時代、プレインランゲージはAIに「賢い仕事」をしてもらう秘訣といえるでしょう。

ご参考:プレインランゲージで情報のユーザビリティと生成AI活用の最大化

橘川 真澄
(JAPL理事)

行政情報の「わかりやすさ」が変わる!デジタル庁が策定を進めるプレインランゲージの新基準

デジタル庁が策定を進めている「ウェブコンテンツガイドライン案」では、プレインランゲージを言語・文章構成の重要な柱の一つとして位置づけています。

これは、特定の専門知識がなくても、義務教育を修了した人であれば誰でも内容を理解できる表現を用いるという考え方です。

利用者のニーズに合わせ、難しい法律用語を平易な言葉に言い換えたり、解説を添えたりすることで、情報の受け手が感じる「負担」を削減することを目指しています。

この指針は、単に言葉をやさしくするだけでなく、行政情報の信頼性を高め、誰もが必要な情報にたどり着ける環境を整えるために導入されます。

現在は策定に向けた案の段階ですが、今後の政府ウェブサイトにおける情報発信のあり方を示す、重要な公的指針となることが期待されています。

ご参考:デジタル庁 ウェブコンテンツガイドライン案 (2025年1月21日) 9.2 プレインランゲージ(P22

橘川 真澄
(JAPL理事)

「プレインランゲージ」と「文学」の境界線

ビジネスの世界では、正確さと効率を追求し、矛盾を排したプレインランゲージのようなわかりやすさが不可欠です。


一方、作家の多和田葉子さんは、あえて文章を長く複雑に綴ることで生まれる「混沌」にこそ、表現の醍醐味があると語っています。


ビジネスでは不適切とされる「矛盾」も、多和田さんによれば、小説の世界では人間らしさを醸し出す大切な「味」になる瞬間があるとのこと。

効率を極めるプレインランゲージと、混沌や矛盾を愛でる文学。

この両者の性質はまさに真逆であり、その境界線を自覚することが書くことの面白さでしょうか。

ご参考:読みやすく、適切な長さの文章が小説のいい文章とは限らない…多和田葉子さん

橘川 真澄
(JAPL理事)

投資家の心をつかむ「伝わる言葉」:信頼を築く情報開示の秘訣

多くの企業が開示する報告書は、専門用語や複雑な表現のために、読み手にとって高いハードルになりがちです。しかし、情報を明瞭な言葉(プレインランゲージ)で伝えるだけで、読者の理解スピードや記憶への定着率は大きく向上します。

「わかりやすさ」がもたらす価値

研究データによれば、プレインランゲージで書かれた文章は、読み手に負担をかける硬い表現を用いたものに比べ、読者の理解スピードを劇的に高めることが示されています。また、文章が明快であるほど、その企業は「誠実で信頼できる」とポジティブに評価される傾向にあります。たとえネガティブな情報を共有する場合でも、透明性の高い伝え方は、読者の信頼や確信を得るための大きな助けとなります。

3つの改善策

「最初のページ」を戦略的に使う: ほとんどの読者が目を通す冒頭部分に、最も重要なメッセージを配置します。

視覚的な工夫を取り入れる: 図解、チャート、適切な色使いなどを活用し、直感的に内容が掴めるようにします。

論理的で簡潔な構成: 文章を区切り、拾い読み(スキャン)しやすい構造を意識します。

情報をわかりやすく整えることは、単なる編集作業ではなく、投資家との良好な関係を築き、持続的な支持を得るための「戦略的な投資」といえます。

ご参考:Why And How To Use Plain Language In Your Corporate Disclosure(Forbes誌)

橘川 真澄
(JAPL理事)

第一生命経済研究所が解説:「プレインランゲージ」が実現する誰もが取り残されない情報社会

第一生命経済研究所は、外国人や障害のある方など多様な人々に情報を確実に届けるための「わかりやすい日本語」の動向をまとめたレポートを2024年に公開しました。

本資料では、迅速かつ正確な意思疎通を支える世界標準のコミュニケーション手法である、プレインランゲージやJAPLについても触れています。

大手シンクタンクである同研究所がこの概念を明文化したことは、日本社会におけるプレインランゲージの認知と普及を一層加速させる重要な意義を持っています。

ご参考:多様な人にわかりやすい日本語とは?~ガイドライン類の比較を通じて~

橘川 真澄
(JAPL理事)

【医療をもっとわかりやすく】プレインランゲージが繋ぐ、患者さんと最新治療の架け橋

治験の結果などを一般の方にわかりやすく伝える「プレインランゲージサマリー(PLS)」や「レイサマリー」の活用が、今注目されています,。

 日本では海外に比べ普及が遅れており、必要な情報が分散していて見つけにくいといった課題もありますが、改善に向けた取り組みが進んでいます。

 具体的には、複雑な治験情報と、すでに発売されて病院などで使えるようになった薬の情報を繋ぎ、一連の流れで情報を得られる環境作りが期待されています。 

広告規制などのハードルはあるものの、国を挙げてより使いやすい情報公開システムへの改修や標準化が検討され始めています。 

難しい専門用語をわかりやすく伝えることは、患者さんが納得して治療を選択するための心強い支えとなるはずです。

参考:PLS/レイサマリーから考える医療情報アクセスの現状と課題

橘川 真澄
(JAPL理事)

「わかりやすさ」が評価の基準に。GLM社に見るプレインイングリッシュの活用事例

情報開示において「読み手にいかに伝えるか」という視点がますます重要視されています。今回は、プレインイングリッシュを戦略的に取り入れ、外部評価へと繋げた最新の事例をご紹介します。

「わかりやすさ」が評価の基準に。GLM社に見るプレインイングリッシュの活用事例

日興アイ・アール株式会社が発表した「2025年度全上場企業ホームページ充実度ランキング」において、株式会社グローバル・リンク・マネジメント(以下、GLM社)が「総合部門 優秀サイト」に初めて選出されました。

この調査は全上場企業3,937社を対象に、「わかりやすさ」「使いやすさ」「情報の多さ」という3つの視点から、客観的な評価項目に基づいて行われるものです。

情報開示の質を高める具体的な取り組み

GLM社は2024年末から2025年にかけて、重要な情報開示ツールであるコーポレートサイトの構成を大幅に見直し、全体的な強化を進めてきました。

プレインイングリッシュの導入: IRやサステナビリティ関連のコンテンツにおいて、平易かつ明瞭な英語(プレインイングリッシュ)を用いた英文ページの拡充を行っています。

サイトの利便性向上: 14ページを新規追加し、既存の22ページを刷新しました。具体的には、IRの「業績ハイライト」ページにチャートを加工できるジェネレータ機能を追加したほか、ESG関連データの対照表を新設するなど、情報のアクセシビリティを高めています。

「伝わる言葉」への継続的な関心

同社は、2024年にJAPLのプレインランゲージセミナー(主催:(社)サステナブルコミュニティ)に参加されるなど、以前よりこの手法に注目されていたようです。こうした「言葉の質」を大切にする視点が、実際のサイト改善における「読み手にとってのわかりやすさ」として反映されています。

今後の展望:対話を支える情報発信

今回の事例のように、プレインランゲージの手法を導入したことを自社の姿勢として明確に打ち出し、それが外部アワードでの評価に繋がるケースは非常に画期的です。

「情報の質」を追求し、ステークホルダーとの円滑なコミュニケーションを推進するこうした動きは、今後、他の上場企業においても、情報開示の新たなスタンダードとして広がっていくことが期待されます。

ご参考:【GLM】日興アイ・アール「2025年度全上場企業ホームページ充実度ランキング」にて「総合部門 優秀サイト」に初選出

橘川 真澄
(JAPL理事)

文字よりも「絵」で心をつかむ:中央銀行が「一目で伝わる」を重視する理由

情報が溢れる現代、中央銀行は難解な経済の話を「一目で直感的に伝える」工夫を凝らしています。

私たちの脳は文字より画像を圧倒的に速く処理するため、図解や動画は、複雑な仕組みを瞬時に理解させる強力な武器となります。

日本銀行が野球を題材にしたり、ジャマイカが音楽を活用したりと、世界中で「親しみやすさ」を追求する動きが広がっています。

こうした視覚的なアプローチは、もはや言葉を補うためのおまけではなく、市民との信頼を築くための「頼れる架け橋」へと役割を変えています。

人々が政策を身近なものとして感じ、自然と関心を向けるきっかけにもなっていきそうです。


参考:Picture this! Central bank visuals across five continents

橘川 真澄
(JAPL理事)