もはや街中に自然に溶け込んでいるかに見える海外からの観光客の方々の他に、多数の企業で雇用され、活躍していらっしゃる海外ご出身の方も多くなりました。厚生労働省によると、令和5年10月末の時点で2,048,675 人なのだそうです。この中には、ネイティブレベルかそれ以上に日本語を使われる方もいらっしゃる半面、まだ運用に不安がある方もいらっしゃいます。まだ日本語に不慣れな方とコミュニケーションをとるときに、ちょっとお気にかけていただきたいポイントに触れたいと思います。
日本語のネイティブや日本語にすっかり馴染んだ方が無意識に使っている「~しなくちゃ(←~しなければならない)」、「これ、やっといて(←やっておいて)」などの短縮された言葉遣い。日本語の使用者にとってはごくごく当たり前にあるものですが、教科書通りの日本語を学んでおり、その学習歴も浅い方には通じにくいことがしばしばあります。
そうは言っても、自分の言葉遣いを客観視する機会はなかなかありません。そこで、英語の短縮語を使って、所属先の48名の日本人学生を対象に英文の翻訳をしてもらいました。「Gimme a cup of water.」のように提示した文を日本語に訳してもらい、その後で元の形になっている文を見せて訳してもらいました。その正答率をまとめたのが下の表です。
これらの英語の短縮語も、英語のネイティブに言わせれば、日常で使い慣れたごく自然な表現なのでしょう。ですが、このような口語に慣れていない人からすれば、理解が妨げられてしまうこともしばしばあります。「あれ?そんなに難しいことを言っていないのに、なぜ通じないのだろう?」と思われた時は、無意識にお使いになっている短縮語が原因の1つかもしれません。